舟橋純の控え帖

まずノートだ、そこに見たもの、思ったことのすべてを書き入れる。そののちに分類して秩序づけ書き写せばいい。思考の簿記であって、そうすれば物事の関連性と、そこから生じる解明とが、きちんとした表現を見るだろう。(『リヒテンベルク先生の控え帖』より)。そういうブログです。

2025-01-01から1年間の記事一覧

アフォリズム集(No.51~No.60)

なにか一つでも、お気に入りを見つけてもらえれば幸いです。 前回は以下からどうぞ。 junjacques.hateblo.jp ―――――――――――――――――――――――――――――― 51. 地続きの意識。 普段の日常生活やSNS上での言葉の伝え方、受け取られ方、選び方に無頓着な人が、文学や批評、…

アフォリズム集(No.41~No.50)

なにか一つでも、お気に入りを見つけてもらえれば幸いです。 前回は以下からどうぞ。 junjacques.hateblo.jp ―――――――――――――――――――――――――――――― 41. タバコを吸う目的。 深呼吸をするためにタバコを吸う人がいる。ため息をつくためにタバコを吸う人もいる。 42…

アフォリズム集(No.31~No.40)

なにか一つでも、お気に入りを見つけてもらえれば幸いです。 junjacques.hateblo.jp ―――――――――――――――――――――――――――――― 31. 祈りの行方。 神を信じることの白々しさが人々のあいだに行き渡った世界で、人は何に対して祈ればよいのだろう。苦境にある人は、神の…

アフォリズム集(No.21~No.30)

今回は教習指導をやりながら考えたことを中心に。 junjacques.hateblo.jp ―――――――――――――――――――――――――――――― 21. 不要な拷問。 今の時代、乗る予定(乗らせる予定)もないのに、子供にMT免許を取らせるのは拷問でしかない。 22. だいたい落第。 教習指導員とし…

アフォリズム集(No.11~No.20)

Twitterに掲載した自作アフォリズムに、加筆訂正を行ってまとめたものです。

アフォリズム集(No.1~No.10)

「アフォリズム」というジャンルをご存じでしょうか。エッセイよりも短い断章形式の文章や、格言、箴言と言われるものです。私はアフォリズムを読んだり書いたりするのが好きです。以下に掲載するのは、私がX(旧Twitter)で書いているアフォリズムに加筆訂…

ただ生きよ ――『シーシュポスの神話』読書録②

さて、前回の記事の続きを書いていこう。 junjacques.hateblo.jp 前回の記事の話を要約する。記事を書き始める前に見つけた三島由紀夫のインタビュー映像から、私は、『シーシュポスの神話』が書かれた背景には、戦争を背景にした身近な人の死と、のうのうと…

生と死の不釣り合い ――『シーシュポスの神話』読書録①

『シーシュポスの神話』を読み、いつも通り、さてどんなことを書こうかと考えていたところ、今日、こんな動画に出会った。 www.youtube.com 生前の三島由紀夫のインタビュー映像である。この映像の中で、三島は、敗戦の詔勅を親戚の家で聞いたとある。聞いた…

「買った本くらい読めっつうの馬鹿!」

読んできた本について、自分の言葉で語れるものについてはぼちぼち書いてきたが、たまには、読むのをやめた本について書いてみるのもおもしろいかもと思い、記事を書いてみる。 ただ、なにせろくに読まずにほっぽりだした本について書くので、内容のあること…

働きながら本を読んでいた人々は何を読んできたか ――『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)読書録

タイトルと中身と主張が合っていない。それでいて一冊の本としてまとまってしまっている。そういう不気味な一冊が、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆、集英社新書)という本なのだ、というのが、まず私が述べたいことである。 タイトルは…

実存主義者バタイユ ――『戦後フランス思想』(伊藤直)読書録

ジョルジュ・バタイユの『文学と悪』を楽しく読んでいる。読んではいるが、バタイユが置かれていた状況をもう少し知りたい、そう思い、『戦後フランス思想』(伊藤直、中公新書)を手に取った。バタイユ個人の、いわばタテの流れは『バタイユ入門』と『バタ…

夕暮れ時の空へ帰りたい/疲れて、手をつないで ――『詩集 野笑』(小池昌代)読書録

『コルカタ』に続けて、次は『詩集 野笑』(小池昌代、澪標)を読んだ。タイトルの「野笑」は「のえみ」と読む。『コルカタ』については以下の記事に書いた。 junjacques.hateblo.jp いつも通り印象に残った詩をいくつか取り上げてみよう。まずは「丘」とい…

表記、この厄介なもの ――私の日本語史(第五回)

前回は、山口仲美『日本語の歴史』(岩波新書)を引きながら、漢字を導入し始めた日本人が苦労しつつも、文章を書く方法を手に入れていったことを確認しました。確認したかったのは、日本語を書き表すことの難しさです。 junjacques.hateblo.jp 日本語を書き…

漢字導入の幸不幸 ――私の日本語史(第四回)

前回の記事では加藤徹『漢文の素養』の一節を引きつつ、やまとことばの中にも中国語由来の言葉があることをお話ししました。中国語の、日本語への影響がどれだけ大きいかの一例として、そんなお話をいたしました。 junjacques.hateblo.jp 今回は日本語の表記…

やまとことばの脱構築 ――私の日本語史(第三回)

前回の記事では、山口仲美氏の見解を引きつつ、中国語は日本語の起源ではない、私は南方系のオーストロネシア語族と北方系のアルタイ語の系統が融合した言語である日本語を受け継いでいるのだ、というお話をしました。 junjacques.hateblo.jp 中国語は日本語…

二つの言語系統の融合 ――私の日本語史(第二回)

前回の記事では、私が両親から「せからしい」という言葉を受け継いだこと、そこから、両親の方言であるこの言葉を超えて、太古の日本人から日本語を受け継いでいることまで書きました。 junjacques.hateblo.jp さて、太古の日本人から日本語を受け継いでいる…

受け継ぎ忘れのないように ――私の日本語史(第一回)

せからしい、という言葉をご存じでしょうか? ネットの辞書なんかにあたると、「うるさい」なんていう語義が出てくると思いますが、私が父や母から受け継いだ使い方で言いますと、これはちょっと違います。近いのですが、言葉の使い方が全然違うので、ふたつ…

このブログの使い方 ――自己紹介に代えて

ある本を読んで考えたことを記事にしようとしたとき、その当の本を、読者の方がすでに読んでいるということは、正直、そうそうあることではないと思います。読んでいないことのほうがほとんどなのが実情でしょう。それでぜんぜんかまいませんし、そのつもり…

川底に沈みゆくもの ――『コルカタ』(小池昌代)読書録

以前、小池昌代の『屋上への誘惑』(光文社文庫)について書いたときに、以下の文章を引用した。 junjacques.hateblo.jp さて、そのようにして書いている途中で、普段見えなかったものを発見したような気持ちになることがある。発見というからには、もともと…

わたしなりのクルーズ ――『デッドライン』(千葉雅也)読書録

『アメリカ紀行』を取り上げた記事で、大学時代から千葉雅也の本を読んでいた、と書いた。 junjacques.hateblo.jp その大学時代、彼のトークイベントに行ってみたことがある。なににひっかけて行ったイベントだったのか、彼がどんなことを語ったのか、さすが…

二人の読書会へ ――『人文的、あまりに人文的』(山本貴光・吉川浩満)読書録

本を読むのは好きだけれども、読書会には参加したことがない。興味がないわけではないけれども、「この読書会に参加したい!」と思ったことがないのだ。いろんなところで読書会は開催されているけれども、そして興味がないわけでもないけれども、わたしを参…

人間的意味、続く世代、ある男 ――『プレヴェール詩集』(岩波文庫)読書録

あまりむずかしい主義主張をふまえた上で書いている詩人の詩は、読んでいても、わたしには、いまいちピンとこない。もちろん詩は、なんらかの意味の伝達が目的ではないにしろ、本当に混乱しているとしか感じられないような詩は、たいていの場合、読まれなく…

光を与える ――『新川和江詩集』(ハルキ文庫)読書録

他人の気持ちを考えて行動しなさい、とはよくよく言われることではあるものの、他人の気持ちなど、そう簡単にわかるものではない。だからこそ言葉によるコミュニケーションが大事、などというと、実にありきたりな話になってしまう。 けれどもこれが、雪の気…

寝ながら考える辺境人の文化 ――『日本辺境論』(内田樹)読書録

加藤周一によれば、 日本人とは、日本人とは何かという問を、頻りに発して倦むことのない国民である。 『日本人とは何か』(加藤周一、講談社学術文庫、p.8) 内田樹も同じ路線で話をすすめる。彼によれば、私たち日本人が、日本論や日本文化論を繰り返すの…

noteから引っ越してきました。

こんにちは。赤木と申します。ふだんは教習所で指導員として働いています。 趣味は読書で、感想などを他の方と共有できればと思い、noteでブログを書いていたのですが、はてなの方が交流しやすいかなと思い、引っ越してきた次第です。 どうぞよろしくお願い…

ものから照らされた自分 ――『屋上への誘惑』(小池昌代)読書録

小池昌代の『屋上への誘惑』を読んでいて、以下のような一節に出会った。 ことばの発生。――わたしは、なぜかうやうやしい気持ちになって、「ただいま」の出てきたあたりに眼をこらす。内圧がかけられて、止むにやまれず出てきたことば。一瞬の光をあびて、こ…

いったんの答え ――『日本人とは何か』(加藤周一)読書録

西洋人の書いた思想書なり哲学書なりを読むたびに、かすかではすまない違和感を抱いてきた。特にイギリス、フランス、ドイツの人々の書いたものは、あきらかに想定読者として日本人を考えていないものだ。それを自分が読むというのはどういうことか、疑問に…

失われた狭さを求めて ――『アメリカ紀行』(千葉雅也)読書録

大学生のときから、千葉雅也の本は読んでいて卒論の参考にもしたくらいだけれど、働きだしてからはあまりハードな哲学方面の彼の仕事よりも、日々更新されるTwitterの文章を楽しんでいた。 ひさしぶりにTwitter以外の彼の文章を読んだ。『アメリカ紀行』(千…

詩の楽しさがジャジャンカ ワイワイ ――『放課後によむ詩集』(小池昌代)紹介

こちらも、わたしが以前、amazonに書いたレビュー記事です。自分の備忘録もかねて、一応こちらにも転載しておきます。―――――――――――――――――――――――――――――――― 小池昌代さんの詩のアンソロジーを毎回たのしみにしている者です。 ご本人の詩集も、もちろん読んでい…

令和の枕草子 ――『あのころなにしてた?』(綿矢りさ)紹介

以前amazonのレビューで書いた文章を転載しておきます。けっこう力を入れて書いたものです。―――――――――――――――――――――――――――――――― この本は、後々必ず参照されることになるであろう、日本の日記文学の新しい金字塔です。いきなり褒めすぎだとお思いでしょうが、…